「ジャガイモが2050年に壊滅するかもしれない」。そんなニュースがXで話題になっています。カレーやコロッケ、フライドポテトにも使う身近な野菜だけに、気になりますよね。
この記事では、何が起きているのか、シストセンチュウとはどんな害虫なのか、日本の農業や米国産ジャガイモの輸入とどう関係するのかを、わかりやすく紹介します。
ジャガイモが2050年に壊滅?英国で何が起きている?
「2050年に壊滅」は、害虫の拡大を止められなかった場合の、スコットランドの種イモ生産についての予測です。日本や世界のジャガイモが、その年に一斉になくなるという意味ではありません。
2026年10月26日、朝日新聞が英国のジャガイモ生産を脅かす害虫の被害を報道。Yahoo!ニュースでも取り上げられ、国内への影響を心配する投稿が相次ぎました。
英国のジャガイモ生産と害虫被害を伝えるYahoo!ニュースの投稿
予測は今回初めて出てきた話でもありません。英国の農業研究機関ジェームズ・ハットン研究所が2024年に公開した資料にも、PCNという害虫がスコットランドの種イモ産業を2050年までに崩壊させるおそれがある、と記されています。
PCNは「potato cyst nematodes」の略。ここではジャガイモシストセンチュウと、ジャガイモシロシストセンチュウという、よく似た二つの種類を指します。
ジャガイモの「種イモ」が減ると、なぜ困る?
種イモは、次のジャガイモを育てるために畑へ植えるイモのことです。食べる分だけを収穫できればよい、という話ではなく、次の作付けを支える大切な材料でもあります。
ハットン研究所の資料では、PCNが見つかると、その土地を種イモの栽培に使えなくなると説明されています。害虫のいる畑が増えるほど、健全な種イモを作れる土地が減ってしまう。ここが大きな問題なんですね。
| 気になる点 | 今回の話 |
|---|---|
| どこの予測? | 英国・スコットランドの種イモ産業 |
| 何が原因? | ジャガイモの根に寄生するPCNの拡大 |
| 2050年に必ず起こる? | 対策を取らず拡大が続いた場合の危機を示す予測 |
| 日本も2050年に壊滅する? | 今回の英国の予測から、日本の将来をそのまま断定することはできない |
ジャガイモシストセンチュウとは何?小さくても厄介な理由
センチュウは、細い糸のような形をした小さな生き物です。今回のシストセンチュウ類は、ジャガイモなどの植物の根に寄生する害虫。根がうまく水や養分を取り込めなくなり、生育や収穫に影響します。
農林水産省の植物防疫所によると、ジャガイモシストセンチュウは、雌の体が硬くなって「シスト」という殻を作ります。中には200〜500個の卵が残り、土の中で15年以上生き残れるとされています。
厄介なのは、卵を守る殻が土の中に長く残ること。一度入り込むと、作物を育てない期間を少し設けるだけでは、解決しにくい害虫です。
ジャガイモシストセンチュウは土や農機具でも広がる
害虫自身が遠くまで移動するだけではありません。汚染された土が風や水で運ばれたり、土の付いた農機具が別の畑へ移動したりすることで、被害が広がります。
畑に入っても、すぐに目立つ症状が出るとは限りません。植物防疫所は、侵入してから作物の被害が出るまで5年以上かかり、発見が遅れる場合もあると説明しています。
農家にとっては、収穫量だけでなく、土を運ばないための作業や機械の管理も必要になります。小さな害虫だからといって、対策まで簡単なわけではないんですね。
猫のひとことジャガイモの害虫、日本への影響は?国内にもいる?
この仲間の害虫は、日本でもすでに確認されています。植物防疫所はジャガイモシストセンチュウについて、北海道や長崎県などの一部の畑で発生を確認しているとしています。
別種のジャガイモシロシストセンチュウは、2015年に北海道網走市で国内初確認。その後も、検査や発生地域の管理、防除が課題になっています。
同じ名前の害虫が国内にいるからといって、被害を全国へ広げてよいわけではありません。まだ発生していない畑や種イモの産地に持ち込ませないことが重要です。
ジャガイモの害虫対策は何をしている?
対策には、害虫が増えにくい品種を使うことや、育てる作物を替える輪作、土や農機具の管理、薬剤などを使った防除があります。種イモの検疫も、被害を広げないための仕組みの一つです。
ただし、害虫に強い品種でも、どの種類・系統にも同じように効くとは限りません。植物防疫所は、シストセンチュウとシロシストセンチュウでは抵抗性が別で、一方に強い品種がもう一方にも強いとは限らないと説明しています。
「強い品種さえあれば大丈夫」と簡単にはいえず、畑の検査や土の管理なども組み合わせる必要があるんですね。
米国産の生ジャガイモは輸入解禁された?協議の経緯
2026年10月26日時点で確認した農林水産省の公表資料では、米国産の一般流通用の生ジャガイモは検疫協議の対象です。輸入解禁日が決まったという発表は確認できませんでした。
「ばれいしょ」はジャガイモのこと。「一般流通用」は、スーパーなどを通じて広く販売される用途です。ここでいう「生」は、加工前の状態という意味で、生のまま食べることをすすめる言葉ではありません。
| 時期 | 米国産ジャガイモをめぐる動き |
|---|---|
| 2006年 | ポテトチップ加工用に限り、管理条件を付けて輸入解禁 |
| 2020年 | 米国が一般流通用の生ジャガイモの解禁を改めて要請 |
| 2026年9月18日 | 農林水産省が検疫協議の進捗を説明する会を開催 |
| 10月26日の確認時点 | 協議対象の病害虫リストを公表。一般流通用の解禁日を示す発表は確認できず |
農林水産省が公表した協議対象リストには、21種の病害虫が載っています。シストセンチュウ類だけでなく、コロラドハムシ、コロンビアネコブセンチュウ、細菌やウイルスなども含まれています。
米国産ジャガイモは、ポテチ用ならすでに入っている?
はい。ポテトチップ加工用は、条件付きですでに輸入されています。農林水産省の説明資料では、害虫の発生していない地域での生産、密閉コンテナでの輸送、施設内での加熱加工などが条件です。
一般流通用は、こうした閉じた加工ルートとは違います。各地の店や家庭に届き、栽培へ転用される可能性もあるため、同じ米国産ジャガイモでも、別の管理方法を検討する必要があります。
米国産ジャガイモの輸入協議で、農水省は何と説明している?
農林水産省は、病害虫の侵入を防ぐ措置を科学的な根拠に基づいて検討すると説明しています。9月18日の大臣会見でも、国内農業に悪影響を与える病害虫の侵入を許さない方針と、慎重に協議する姿勢を示しました。
一方、生産者や専門家からは、侵入後の防除に長い時間や費用がかかることを心配する声が出ています。農家にとっては、自分の畑だけでなく、地域の種イモ生産にも関わる問題です。
英国のジャガイモ被害は、米国産の輸入が原因なの?
今回確認した英国の報道と研究資料だけでは、米国からの輸入が今回の被害拡大の原因だとは分かりません。
植物防疫所の解説では、欧州へのこの害虫の侵入は、19世紀にジャガイモ疫病に強い品種を育てるため、南米からジャガイモを導入した歴史にさかのぼるとされています。英国の現在の被害と、日本で進む米国産の輸入協議は、同じ害虫への警戒でつながる話です。
ただ、英国の被害をそのまま「米国産を入れた結果」と読むには、経路の裏付けが必要です。Xでも、この点をもっと詳しく知りたいという声がありました。
ジャガイモのニュースにXの反応は?国産や輸入への声
10月26日のXでは、国内農業を守ってほしいという声や、国産のジャガイモを選びたいという意見が見られました。英国での被害を受け、日本の輸入協議を心配する人もいます。
ジャガイモは国産を選びたい・日本の食を守ってほしいという声
国産ジャガイモを支持するれいさんの投稿
日本の食を守ってほしいというはっさくさんの投稿
国産を応援したいという気持ちに加え、日本のジャガイモを海外へアピールできないか、という意見もありました。
日本のジャガイモの発信を提案するげるまんさんの投稿
ジャガイモ輸入のリスクを心配する声と、英国の事情を知りたい声
日本への害虫侵入を心配するBLUESさんの投稿
英国の輸入事情も知りたいという316-METALさんの投稿
ジャガイモの害虫問題まとめ|いつもの食卓を支える畑の話
今回の「2050年に壊滅」は、スコットランドの種イモ生産をめぐる予測でした。根に寄生する害虫が広がり、次のイモを育てるための種イモまで作れなくなることが心配されています。
日本でも発生や防除の経験があり、米国産の一般流通用ジャガイモをめぐる協議が注目されています。身近な野菜だからこそ、産地が抱える不安と、侵入を防ぐ対策の中身を知っておきたいですね。



参考:朝日新聞(Yahoo!ニュース、2026年10月26日)、ジェームズ・ハットン研究所の2024年公開研究資料、農林水産省の検疫協議説明資料・協議対象リスト、植物防疫所「ジャガイモシストセンチュウの解説」、農林水産省9月18日大臣会見、本文のX投稿。2026年10月26日確認。









