紀伊國屋書店の昔の採用文書が、Xで話題になっています。
「ブス、絶対に避けること」「身長百四十センチ以下は全く不可」など、画像に並ぶ言葉に驚いた人も多いのではないでしょうか。
ただ、最初に知っておきたいのは、今回広がっているのは、1983年に国会でも問題になった過去の文書だということ。2026年に作られた採用マニュアルではありません。
いつのものなのか、何が書かれていたのか。
当時の国会会議録と報道を確認しながら、今回のXの反応も紹介します。
【画像】紀伊國屋書店の採用マニュアルには何が書かれていた?
画像を掲載している公開X投稿がこちらです。
文書の名前は「女子社員採用にあたって留意すべきこと」。「採用不可の女子」「要注意の女子」という区分で、条件が並んでいます。
全文。1982年11月、組合が文書の存在を暴露。1983年2月3日、読売報道。11月には社長名で各団体に反省文を送付。
— チャーリー・背楠トン。 (@charizon) 2026年10月22日
画像の内容は、1983年3月5日の衆議院予算委員会第四分科会でも読み上げられています。単に出どころの分からない画像が広がっている、という話ではないんですね。
紀伊國屋書店の文書にある「採用不可」の8項目
土井たか子議員が紹介した8項目を、内容ごとにまとめると次のようになります。原文には、現在読むと強く引っかかる表現が含まれています。
- 容姿:「ブス、絶対に避けること」と記載。
- 身長:140センチ以下を不可とする記載。
- 出身:地方出身者を「カッペ、田舎っぺ」と表現。
- 眼鏡:眼鏡をかけていることを項目に掲載。
- 知的能力:「バカ」という言葉を使用。
- 話す力・活動歴:弁が立つ人や、新聞部に所属していた人への注意。
- 法律への関心:前職や専攻、関心事を確認するよう記載。
- 病歴:慢性の病気について、再発や疲れやすさなどを理由に挙げる記載。
「仕事ができるか」だけでなく、容姿、身長、出身、病歴まで採用の判断材料にするような内容だったことが、批判の大きな理由です。
紀伊國屋書店の「要注意」には父が大学教授、好きな芸術家まで
さらに「要注意」の欄には、支持する政党、政治・宗教団体との関わり、国籍や実家の仕事、転職歴、大学中退、家庭事情なども出てきます。
驚くのは、「父が大学教授」「尊敬する人物が情熱的芸術家の場合」まで挙げられているところ。芸術家の例には、ゴッホ、林芙美子、石川啄木の名前がありました。学校の先生を尊敬している場合も、その理由を質問するよう書かれています。
なぜ父親の職業や、好きな作家まで関係するのか。読んでいて疑問が出てくる部分ですよね。個々の項目を設けた具体的な理由までは、この会議録では説明されていません。
猫のひとこと紀伊國屋書店の採用マニュアルはいつのもの?1972年・1983年の違い
文書のもとになった意見については1972年、国会で取り上げられたのは1983年と、別の時点を示す年が出てきます。
2016年のビジネスジャーナルの記事は、1983年6月10日付の朝日新聞を引用し、当時の会社側が「1972年の人事担当者の研修会で出た意見をまとめたもの」という趣旨で説明していたと伝えています。
一方、国立国会図書館の会議録で確認できるのは、1983年3月5日に土井たか子議員が実物を示し、内容を読み上げたことです。2026年から数えると43年前。この年の文書問題が、今回あらためて注目されています。
| 時期 | 確認できる内容 |
|---|---|
| 1972年 | 当時の会社側が、研修会で出た意見をまとめたものと説明した年。2016年の記事が過去の新聞報道を紹介。 |
| 1983年3月5日 | 衆議院で土井たか子議員が文書を取り上げ、労働省に対応を求める。 |
| 2016年4月16日 | ビジネスジャーナルが、過去の文書問題と当時の会社説明を振り返る記事を掲載。 |
| 2026年10月 | Xで画像や過去の記録への反応が広がり、23日にTogetter、24日にガールズちゃんねるでも話題になる。 |
紀伊國屋書店の採用文書に当時の会社はどう説明した?
国会のやり取りで大事なのは、文書の存在だけでなく、実際の採用に使っていたかについても質問されていたことです。
当時の労働省の赤松良子・婦人少年局長は、会社に実情を聞いたところ、こうした採用は現在行っていないという回答だったと説明しました。一方、文面については強い驚きと否定的な感想を示しています。
土井議員は、それでも文書が社内にあったこと自体が問題だとして、指導を求めました。大野明労働大臣は、会社の責任者を呼んで話をする意向を示しています。また、問題を訴えた労働組合員が不利益を受けないようにすることも、質疑の中で取り上げられました。
2016年の記事によると、当時の会社側は文書を採用基準として使っていないと説明し、労働省の行政指導もあって文書を廃棄したとされています。
社内文書が存在したことは国会会議録で確認できる一方、当時の会社は採用基準としての使用を否定していた、という経緯です。
紀伊國屋書店の採用マニュアルにXのみんなの感想は?
Xでは、強い言葉への驚きに加えて、国会の記録まで調べる人や、告発した従業員側の動きを知ってほしいという人もいました。10月22日に投稿された、3人の反応を紹介します。
紀伊國屋書店の文書の「絶対に」という言葉に驚く声
容姿について強い言い切りがある点に、驚いたという反応です。項目の内容だけでなく、その書き方も印象に残るようです。
ブスだけは絶対採用しないという強い意思を感じる
— きのこです (@kinokodesu2017) 2026年10月22日
紀伊國屋書店の話が国会会議録にも残っていることへの反応
画像を見て、実際に国会会議録を確かめた人も。昔の話を知るきっかけになった、という受け止め方もあります。
ほんとに議事録残ってるじゃん
— ナムル共和国 (@JAPANESEtvyea) 2026年10月22日
紀伊國屋書店の労働組合による告発にも目を向けてほしいという声
文書を問題にしたのは、同じ会社で働く人たちだったことにも注目が集まっています。会社名を見てすぐに不買へ結び付けるのではなく、告発の経緯も知ってほしいという意見です。
これは紀伊国屋の労組が告発したものだから、怒りのあまり「紀伊国屋では買わん!」なんてことのないように。
— 高山和彦 (@_kaz_takayama) 2026年10月22日
紀伊國屋書店の採用マニュアルは今も使われている?
今回の画像から、現在も同じ条件で採用しているとは確認できません。1983年当時の会社も使用を否定しており、過去の文書問題として読む必要があります。
現在の公式求人ページでは、お客様やスタッフとのコミュニケーション、チームで働く姿勢、知的好奇心などを重視する説明が掲載されています。
画像の言葉には驚きますが、当時から声を上げた人がいて、国会でも問題として議論されていました。「昔だから仕方ない」で済ませず、変えようとした動きまで知ると、見え方も少し変わりますね。



参照:国立国会図書館「第98回国会 衆議院予算委員会第四分科会 第2号」(1983年3月5日、発言11〜28)、ビジネスジャーナル(2016年4月16日、エキサイトニュース掲載)、紀伊國屋書店公式求人ページ、Togetter(2026年10月23日)、本文掲載の公開X投稿。文書内容の説明は国会会議録に基づきます。Xの感想は確認できた投稿の一部です。









